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しろちょこ日記

しろちょこ日記

口唇裂5

きゅう太の入院していた病院は古い大きな大学病院。
病棟だけは新館でまだピカピカでした。

その病棟でのお話。
形成外科と皮膚科でひとつのフロアだったような記憶です。
ナースステーションを挟んで右に行けば形成外科
左に行けば皮膚科でした。

形成外科の患者さんはきゅう太見たいな4ヶ月の赤ちゃんから
小学生や学生さん。主婦など年齢はさまざまな人がいました。

小児病棟とかだとプレイルームとかあって
感染症以外の元気な入院患者は遊べたりするんですが
形成外科だったからそういう子供向けの遊び場はありませんでした。

でも、談話室があったんです。
なテレビが見れて、雑誌や漫画本が置いてある部屋でした。
大人の患者さんや、付き添いさん。お見舞いの人も。
患者である子ども達もよく出入りしていた部屋でした。

テレビを見るために、きゅう太を抱いてよくお邪魔していました。
そこでよく遊んでいたのが、右の耳をガーゼで覆っている、
ハイパーヨーヨーを手にした10歳くらいの男の子でした。

特に何にもしないできゅう太をひざに乗せて
テレビを見ていたら
その男の子のお母さんが突然話しかけてきました。
その中で
「怖がっちゃだめよ。もうこんなことはないから兄弟を産んでね。」
みたいな事を言われました。
お話したのはもっといろんなことだったんだけど。
私にはその言葉がずーと頭の中から離れませんでした。

きゅう太を産んで4ヶ月きゅう太しか頭に無くて
二人目のことなんて全然考える余裕なんてありませんでした。

でも、その言葉を聞いて気が付きました。
子どもを産むことへの恐怖感はかなりあったみたいです。

もし、きゅう太の弟か妹が
きゅう太以上のハンデを背負って生まれてきたら
私に耐えられるだろうか。
きゅう太と同じようなハンデは遺伝性がないと言い切れていないのに。

話しかけてきたお母さんは
男の子が生まれた時に右耳が無い(凄く小さい)わが子を見て
凄く悩んだけど、兄弟を産んでことで救われたということを
伝えたかったようでした。

あの時はお話しただけで終わってしまったけど
今になってとても感謝しています。
お礼も何も出来ないけれど
今ここで声をかけてくださった
あなたに「ありがとう。勇気をくれて。」
って伝えたいです。


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